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不動産特定共同事業法とは

今、注目を集める不動産投資

マイナス金利が導入され、国民の資産運用難が顕在化する中、不動産投資が注目を集めています。
不動産を所有するなら誰もが好立地の優良物件を選びたいもの。しかしながら、資金調達や情報収集など高いハードルがあるのも事実です。また、実物不動産投資は首都圏のマンションで数千万円、郊外でも一千万円ほどの初期投資が必要で、リスクも大きいものとなります。
実質的には不動産に対する投資でありながら、これらのマイナス面を補うことができる方法が不動産小口投資です。

不動産を小口化することで初期投資とリスクを抑える

不動産特定共同事業法に基づいた不動産小口投資商品は、多くの人から資金を集め、その資金で不動産を購入し、そこから得られる賃料収入を出資者に分配する仕組みの商品です。実物不動産と比較し少額で不動産投資が始められるため、初期投資とリスクを抑えることができるうえ、不動産特定共同事業者(許可を受けて不動産特定共同事業を行う者)が不動産の管理・運営を行うので、実物不動産に対する投資に比べると投資期間中の手間がかかりません。
商品によっては一口1万円から100万円の範囲で投資できるものもあり、表面利回り([諸経費等を考慮しない利回り])で年1.5~8%程度の商品が提供されています。

不動産特定共同事業法とは?

不動産特定共同事業法は、1995年(平成7年)4月に不動産特定共同事業の健全な発達及び不動産の投資に関する投資家保護を目的として施行されました。同法に基づく事業を行うためには、原則として、国土交通大臣等又は都道府県知事の許可を受ける必要があり、この許可を受けるためには、「事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有するものであること」等の要件を満たす必要があります。また、不動産特定共同事業者は、同法上、不動産特定共同事業の遂行に関し様々な義務が課されています。

不動産特定共同事業法に基づく不動産小口投資の種類

不動産特定共同事業法に基づく不動産小口投資については、不動産特定共同事業法上、大きく3つの契約類型が認められています。

1.任意組合型  

全投資家と不動産特定共同事業者の間で任意組合契約を締結して、全投資家と不動産特定共同事業者が組合員となって任意組合を組成する類型です。

各投資家は、任意組合に対し、不動産の共有持分の現物出資(不動産の共有持分については、現物出資の直前に不動産特定共同事業者から購入することが一般的です。)又は金銭の出資を行い、不動産特定共同事業者は、組合の業務の執行を行う唯一の組合員として、現物出資又は出資金をもって任意組合が取得した不動産の管理・運営などの事業を行い、不動産売却や賃貸収入などの収益を投資家に分配します。

[不動産の所有権]

組合員(全投資家、不動産特定共同事業者)が共有

2. 匿名組合型  

各投資家と不動産特定共同事業者との間でそれぞれ匿名組合契約を締結して、各投資家が匿名組合員、不動産特定共同事業者が営業者となって匿名組合を組成する類型です。
各投資家は、不動産特定共同事業者に対し金銭の出資を行い、不動産特定共同事業者は、出資金をもって取得した不動産の管理・運営などの事業を行い、不動産売却や賃貸収入などの収益を投資家に分配します。

[不動産の所有権]

不動産特定共同事業者に帰属

なお、投資家の名前が不動産登記簿上に載ることはありません。

3.賃貸借型  

宅地建物取引業者から共同で購入するなどして不動産の共有持分を有する投資家が不動産特定共同事業者に不動産を賃貸し又は不動産賃貸を委任する類型です。

不動産特定共同事業者は、賃貸又はその委任を受けた不動産の管理・運営などの事業を行い、賃貸収入を投資家に分配します。

[不動産の所有権]

投資家が共有

それぞれの契約類型にはメリット・デメリットがあります。また、いずれの類型も分配金の原資は不動産の賃料収入であり、分配金の保証はされていません。また、任意組合型・匿名組合型のいずれも出資の元本の保証もされていません。

投資する際には、不動産特定共同事業者から事業や商品の内容などについての説明を受けたり、不動産特定共同事業者から交付される書面・契約書をよく読んだりすることで、各不動産小口商品が投資目的に合っているかだけでなく、投資に伴うデメリットやリスクも理解したうえで、その不動産小口投資商品に対する投資を行うか否かを判断することになります。

電子取引について

不特法の一部を改正する2017年の法律の施行により、同年12月より不特法事業において、インターネット上での契約締結ができる電子取引業務が可能となりました。不特法事業者は、自社商品について、自らのホームページ等で不特法事業契約の締結の申込みを事業参加者である投資家にさせ、基本的にオンラインで申し込みから出資まで電子的に行える取引です。小口の不動産投資商品として手軽に1万円程度から出資できるのも特徴の一つです。なお、2019年4月に「電子取引業務ガイドライン」が策定され、不特法事業者等が整備すべき業務管理体制の一層の明確化が行われ、電子取引業務の適正な運営の確保と投資家の利益の保護が図れるものと期待されています。

不動産小口投資のはじめかた

賃貸型の商品はあまり供給されていないため、不動産小口投資を検討する際には、一般的には匿名組合型を中心に任意組合型の商品を選択することになります。
その場合の一般的な手続の流れをご紹介します。